「じゃあ、明日学校で。
ゴメンね、渉くん。
家借りちゃって・・」


「いいよ・・これくらい。
気をつけろよ。」

「じゃあね、バイバイ」


みんなを玄関で見送る。
今は7時半。受験生にしては
遅くなってしまった・・

でも後片付けはみんなでやったので
3分の2くらいは終わった。
後はステージを撤去するだけ。
でもこれが1番キツイ気がするのは
アタシだけだろうか・・・


「ステージは後で片付けるから、
杏南ちゃんたちは先にお風呂入っていいよ。」


「でも・・」


「今日は誕生日なんだし。
1回くらいは甘えてもいいんじゃね?」


「そう? 有李栖は入る?」


「私はいい。でも・・」


「でも? どうかした?」

「誕生日で悪いんだけど・・
妖怪【スポク】の気配が・・・」


あぁ・・アタシは封鬼師だったっけ。
幸せを噛み締めていたけど
アタシのこの状況を忘れるところだった。

アタシは急いで自分の部屋に走る。
有李栖も自分の部屋に行く。
はぁ・・ガチャ。
今日は黒色のメイド服。
お気に入りのやつは洗ってしまった。
1分で着替える。これ1番、ミニなんだよね・・

そんなことはとりあえずいい。
狗獣刃(こうじゅうじん)を手に取り、
部屋を出る。 バタンっ!


玄関に行くと有李栖が弓矢を抱えて立っていた。
渉と有李栖が何か話している。
凄く心配そうにしている。
ふと、アタシに気付いて有李栖が手招きする。
走って有李栖のところに行く。