そしてアタシたちは屋敷に向かう。
その間、無言なのが気まずい。
何か話しかけないと・・・えっと・・・・


「ギースト・・ねぇ、」


「何でしょう。杏南様、」

口に出す前に1回口篭(くちごも)る。
これは聞いていいのだろうか・・
でも、呼んでしまったからな・・どうしよう、


「杏南様、どうなされました?」

ギーストはアタシの顔を見る。
凄くかっこいい・・間近で見るのは初めてだ。
急に顔を向けられては緊張してしまう。
言葉が上手く出て来ない。


「えっと・・ギーストと有李栖って・・
どんな、関係なの?」


顔を見れない。こんな質問していいのか。
ふと、顔を上げると驚いたように目を丸くしている。
そして、直ぐに元の穏やかな顔に戻る。
ギーストの紫色の瞳に吸い込まれそうになる。


「そうですね―、杏南様と渉様のような関係ですよ。」


「幼馴染みってこと?」



「いいえ、腐れ縁と申しますか・・
ただの長い付き合いの主と使役のような関係です。」

爽やかな笑顔で言われるとこれ以上聞き返せない。
あの有李栖の部屋での2人の体勢、言葉の掛け合い。
ただの主と使役ではない。でもこれ以上聞くのも釈だ・・

やっぱ何もないのかな・・


「杏南様は渉様のこと、どう思ってらっしゃるのですか?」


「えっ?・・渉のこと?」

「はい、渉様は普通に見ていても
端整な顔立ちをしてらっしゃいますからね。
女性にもモテるのではないでしょうか。」


確かに・・久しぶりに見たとき、
凄くカッコよくて、小さいトキの渉とは全然違った。
でも話すとやっぱり渉は渉のままで・・・