貴方の存在の抹消。
杏南様が生まれなかったことにして欲しい・・・」


えっ・・アタシの存在が気に食わなかったの?
アタシはショックで声が出なくなる。
ジュシフは息を整え、また話し始める。
アタシは今にも泣きそうだ・・出来れば、聞きたくなかった・・・


「この説明は杏南様が勝ったら
お話させて戴きます。杏南様に払う代償と共に。」


真っ直ぐな表情でアタシを見る。
理由はどうであれ、アタシの存在の抹消。
アタシは絶対負けない。理由を説明して貰うため、
代償を・・聞きたかったことを聞くまでは!!


アタシは再度、狗獣刃を握り締める。
そして、狂ったように突進する。
ジュシフもアタシに向かって猛スピードで走って来る。



キーンッ。カキーンっ!!!

「ジュシフ・・・アタシの存在が
気に食わなかったの? 
アタシは・・・生まれてこないほうが!!」


自分でも力が溢れてくる。
人はいざというときには物凄い潜在能力を発揮するのだと
改めて実感した。
ジュシフは不敵に笑う。余裕の表れなのか・・



「杏南様は誤解している。
その訳は私に勝利してからお教えします。
今は『敵』に勝つことをお考え下さい。」



癇に障ることをいう。
その言葉がアタシをイラッとさせる。
アタシは狗獣刃の柄の部分をぐっと、強く握る。

「あぁぁあああっ!!!」



アタシは勢いよくジュシフに向かって
刀を振り下ろす。
ジュシフはするりとかわすとアタシの背後に回る。
アタシは素早く振り返り、再び振り下ろす。

カキーンッ。キーンっ!キーンっ!!