「…?」 意味が、わからない “ただの”客ではなかったのか? 「日本はいい所だ。沢山の興味深い文化がある。お前も新しい文化に触れてあのお嬢さんのことも―…」 一瞬、頭に血が上った。 「私は過去を捨てました…!それに、もう思い出したくもない!」 「捨てたと言う奴が、毎晩うなされるだろうか?主人と距離をとるようになるだろうか?引きずっている以外、無いだろう」 …図星だ。 だけど、これを認めたら過去との決別に負けたみたいで、嫌だった。 「…失礼します!」 そう言って、父の部屋を後にした。