やっぱり夏になると、涼くんとのことを思い出した。
秋になると、かるがもを見たことを思い出した。
でも、前とは違っていた。
後悔に苦しんでいたあの頃とは違う。
もう“思い出”にできたよ。
きっと。
きっとね。
自己中でつかみどころのない彼との日々は、刺激的だけど疲れた。
涼くんみたいに優しくない。
いじわるで。
何を考えているのかわからない。
でも、ときどき優しくて。
「誕生日何ほしい?」
そう聞くと、思わせぶりな答えが返ってくる。
「愛!」
・・・・・・
また振り回されてる。
愛がほしいなんて言うけど、一向に彼女にしてくれそうもない。