家族が

温かいって誰が言ったの?


「あんたって子は!
何でお兄ちゃんみたいにしっかり出来ないのよ!!」

「お前はこの家族の恥だ。…とっとと居なくなれ。」

何度も何度も聞いた罵声

兄を溺愛するあまり

弟の僕の育児を放棄。


「ごめんな、雅也…」

そして、何度も見てきた兄の泣きそうな顔

ゴツゴツした手で、僕の頭を優しく撫でる。

「勇人!そんなクズほっときなさい!!馬鹿が移るわよ。…ほらご飯にしましょ。」

僕を嫌う母は汚い物を見るような目で見つめる。

いつから

いや、生まれてからずーっと

僕は独りぼっちだった。

寂しさはない。

だれも信じてなんか居ないから。

必要もない。

家族なんて存在。

生まれて来なきゃ良かった。