「はいはい、今行きますよ!
このお姉ちゃんが鬼をやってくれるそうなので、みんな!早く逃げてくださ〜い!」

「はっ?!!うちの事か?!」


「この女が鬼や〜!!
みんな逃げんと食われてしまうでーー!!!!」


沖田に鬼ごっこの催促をしていた男の子が大きな声で他の子に知らせる。


“きゃあーーーーーーー!!山姥やーーー!!!!”


と叫びながら一斉に散っていく。


「こんのクソガキ共ッ!!誰が山姥や!!!
捕まえたらホンマに煮て食ってやるわッ!」

鬼に任命された楓の手加減なしに全力で子どもたちを追いかける姿は正に山姥そのものだ。


「あははは!!最高におもしろいなぁあの人は」



子どもたちの悲鳴と楓の雄叫びを遠くに聞きながら沖田総司は本当に楽しそうに笑った。


「沖田はんは行かんでええんどすか?」


この男と二人っきりでいるのは何となく嫌だった。


(さっさと行ってしまえばええんに…)

沖田総司はこっちを向いてニコニコしながら

「もちろん行きますよ!
そうだ!!お梅さんも一緒にどうですか?!鬼ごっこ。」


「うちはええんよ。こんな着物じゃ動けへんやろ?」

因みに、楓は会うといつも男物の着流しを着ていた。新撰組に入隊してからは一度も着物を着ていないそうだ。