「この局中法度は、新撰組の基盤にするためだけに考案したわけじゃねぇ。
これを芹沢に承認させれば、ヤツの今までの行動は法度に違反する。
そこを狙う」


山南は閃いたようにはっとして少し興奮気味に言う。

「それはつまり、新見副長を始め、平山五郎・平間重助などの芹沢派も同罪として一気に粛清できるというわけか?」

「流石だな山南さん。わかりが早くて助かるぜ。
んで、うちの大将はこの計画、理解していただけたかな?」

茶化し気味に土方は近藤の方を見る。


「俺をあまり馬鹿にするなよ?歳。
その話、よく理解した。そうと決まればすぐにこの局中法度を芹沢局長に認可してもらおう!」

勢いよく立ち上がる近藤に対し山南は、

「近藤局長、今はもう夜中ですよ。
とりあえず今日はこのまま解散するとしましょう」

と、申し訳なさそうに笑いながら近藤を静止させる。

「お?そうだったか!すまんすまん!
真剣に話をしていたら時間を忘れていたよ」

頭を掻きながら恥ずかしそうに近藤は笑った。


「ったく、あんたって人は…」


土方も思わず苦笑した。




――こうして芹沢 鴨暗殺の計画は静かに幕を開けた