幕末異聞



一行は烏丸通りの茶屋に入った。

午後三時頃ということもあり、通りは食材を買い求める客でごった返していた。


そんな中、男三人と刀を持った女が一人というなんとも奇妙な客に、店員は驚いた。


「そういえば楓、お前芹沢局長に会ったんだって?」

永倉が隣でみたらし団子をほうばっている楓に声をかけた。


「あれ?!きのう芹沢さんいなかったんですか?」



「…総司、芹沢さんは二週間前から大阪行ってて今日帰ってきたんだよ」



「ああ!…金の工面ってやつですか?」



「…痛いとこ突くなよ」


永倉は渋い顔で茶をすする沖田を見た。


(相変わらず、鋭いやつだ)


沖田という人間は人間観察に優れている永倉でも理解が出来ない。
つかみ所がない上、全く真意が読めないのだ。