「そいつは、俺の小姓です。何か用があるのでしたら、俺を通していただかないとこちらの仕事にも支障をきたしますので、以後そういうことでよろしくお願いします」


「ふん。相変わらず面白みのない男よの。では改めて君に局長の芹沢からお願いしよう。
土方君!赤城楓を今晩貸していただきたい!」


楓の肩を乱暴に自分の方に引き寄せると、芹沢は凄みを利かせた眼差しで土方を睨む。

土方はそんな芹沢に動じることもなく、廊下から庭にいる芹沢の目をまっすぐ見ている。

「それはできません「別にええですよ?」

「!!?」

楓の近くにいた原田の目が点になった。


土方も折角優勢になりつつあった話を話題の中心人物である楓本人によって一気に不利になってしまったことにえらく腹が立てていた。


「うわはははははっ!!当の本人がこう言っているんだ!いいだろう?土方君」

芹沢は勝ち誇ったように厭らしい笑顔を浮かべながら言った。


「……ちっ」

自分の段取り通り行かなかったことに土方は爆発寸前になっていた。

そんな雰囲気をまったく感じ取ることのできない楓は土方に対し、更なる追い討ちをかけた。

「大体うちは副長の小姓になった覚えこれっぽっちもないで?!」

肩を掴む芹沢の手を怪訝そうに払いながら言う。


(…最高の馬鹿だ)

原田は楓のあまりの爆弾発言に言葉を失った。