ここは京都壬生村にある八木邸。

反幕府活動を阻止し、京都の治安を守ることを主な役割とした壬生浪士組の屯所である。


先の八月十八日の政変により壬生浪士組の働きは評価されたが、世間の評判はあまり良くないというのが現実である。
その証に京都の人は彼らを皮肉の意味を込めて『壬生狼』と呼んだ。



屯所の中にある道場で一人仁王立ちのまま考え込む先ほどの青年。

(さて、どうやって逃げ切ろうか)

怒られないですむ方法を必死で考えていた。