布団から這い出て乱れた薄い夜着を整えながら楓は自分自身に驚いていた。



「うち…平助が入って来たのに気づかなかったんか…」



いつでも警戒を怠らない楓にとって、人に起こされるということは大変な珍事であった。



(安心…してたんか?)




「……まさかなぁ」


そんな独り言を言いながら寝具を片付け、顔を洗うため井戸へと向かった。