何かが聞こえる。


…声?



「……で…………か……で」



名前…。うちの…名前?



「かーえーーでーーー!!」




――パチ。



「うぅ〜……平助か?」


「ふ〜、やっと起きたか!お前どんだけ眠り深いんだよ!!」


楓は目をぱっちり開き勢いよく布団から起き上がったかと思うと、藤堂の肩をガシッと掴んだ。


「うち起きなかったんか??!」

「そ、そうだよ!何度も名前呼んだんだぜ?」


大袈裟に疲れたような素振りをする藤堂。


「もう朝稽古の時間だから、早く顔洗って着替えて道場に来いよー?」



それだけ言い残し、道着姿の藤堂は廊下へ消えていった。