――ダンッ!!


土方は力任せに畳に拳を振り下ろした。

「近藤さん!!あんた何も解ってねぇ!新撰組にとって今が大事な時期なんだよ!!
芹沢のことだってあるのに…そんなところに間者なんて入ってみろ!
あっという間に新撰組は潰されちまうぞっ!!」



「とっ…歳…」



近藤は怒鳴る土方をどうにか落ち着かせようとする。

慌てた近藤から目を放し、俯く土方。




「もう…お人好しなだけじゃ駄目なんだよ…」


畳の目を見ながら自分自身にしかきこえないほど小さな声で呟いた。

案の定、近藤にその声は届いていなかった。



「近藤さん。とりあえず、山崎君に見張らせるというのはどうだ?」

顔を上げ、気を落ち着かせるように煙管を口に咥える。