太陽が真上に昇っている。
もう昼を回っているだろうか。

多忙な日常を少しの間でも忘れたくて鴨川辺りをゆっくり歩いている男がいた。

(静かだ)

普段の生活ではありえない静かさである。

しばらく歩いていると土手の方が珍しく賑わっていた。その付近に目をやると、人だかりができている場所があった。
それをぼんやりと見ていたが、

(触らぬ神になんとやらってな。勤務外だ。俺は何も見ちゃいねぇ)

頭の中でそんなことを言いながらさっさとその場を立ち去ってしまった。