「……あれ、大丈夫ですかね?」
そんな二人を道場の隅で見ていた永倉が不安そうに言う。
「はっはっはっ!!竹刀では滅多なことで人は殺せんから大丈夫だろ!」
(…果たしてそんなのん気に見てていい試合だろうか?)
永倉は目の前の二人のただならぬ雰囲気を感じとっていた。
そんなことを知るはずもない近藤が試合の始まりの合図を出す。
「先に一本とった者を勝者とする!審判はここにいる永倉君が務める」
近藤の宣言とともに永倉が向かい合う二人の間に入った。
道場に張り詰めた空気が流れる。
「始め!!!」
静寂に包まれた道場に開始の声が響き渡った。