再び長い廊下を道場のある方向に進んでいく。
<道着は私のをお貸しします。着替え終わったら道場に来てくださいね!>
と言われて沖田の道着を借りたはいいが…
「…ダボダボやん」
袴の裾はギリギリ踏むことはないが動きにくい。
(しかし、やるからには絶対負けん)
楓は今までに多くの人間を斬ってきた。
今死んでいないということは過去に負けたことがないということ。
楓にとって負けることは『死』を意味するのだ。
たとえそれが勢いで受けてしまった試合でも楓の考えは変わらない。
「うちは負けん…」
自分に言い聞かせるように呟いた。
――道場の戸が静かに開く
目線の先には壬生浪士組屈指の剣豪、沖田総司がいた。