「みなさ〜ん!これから近藤さんと土方さんの酒早飲み対決が始まりますよ!」
沖田は全員に聞こえるような声でありもしない事実を叫ぶ。
“おーー!!いけーー!!いいぞー!やれやれーッ!!!”
酔った隊士たちの興奮は沖田の宣言により更に高まった。
「なッ!!総司!!!なに訳わかんねーこと「おお!!いいじゃないか!歳、その勝負乗った!!」
でたらめな情報の犠牲となった土方は酷く狼狽するが、同じ境遇にある近藤はやる気満々であった。
「か…勝っちゃん?!!」
あまりの衝撃につい昔の呼び名で近藤の名を呼んでしまった土方。
「いや〜!懐かしいなぁ!!武州にいた頃にはよくこうして張り合ったではないか!!」
「そ…そりゃそうだが…」
「土方さん」
焦る土方の耳に沖田は顔を近づける。
「ここで辞退したら副長としての示しがつかないでしょう?」
ボソっと土方にだけ聞こえるように笑顔で耳打ちする沖田。
(…こいつー…)
土方は離れる沖田を正に鬼の形相で睨みつける。
「よーーしわかった!!近藤さん、勝負だッ!!!」
“副長―――!!”
“それでこそ男だーー!”
隊士たちの激励を背中に受けながら二人の武士は酒壷を両手に持ち立ち上がった。
――そして、数時間後には二人とも藤堂を始めとする若い隊士にお世話になった事は言うまでもない。

