「…もしかして何か用?」
楓は山野の目的がサッパリわからない。
「い…いやぁ!そういう訳では……」
子犬が怯えるような顔で俯いてしまった山野に楓は何でか自分がいけないことをしてしまったような気持ちになった。
「・・・その茶屋ここの近くにあるんよ。あんたも一緒に来るか?」
((なにーー?!!!))
楓のその言葉に真っ先に驚いたのは永倉と原田だった。二人は前のめりになり、楓と山野の会話を必死で聞き取る。
「い!!行きます!!!」
山野の顔はたちまち赤くなり、眼を若干潤ませて満面の笑顔になった。
「…じゃあ、行こか。」
(こんなはずやなかったんに…)
楓は諦めたようなため息をつき、山野の前を歩き出した。
「……これって」
「とりあえず…」
「「成功?!!」」
二人の更に後ろで隠れていた永倉と原田は顔を見合わせ、パンっと手を突き合せた。

