「「はあぁぁぁッ?!!!!」」
永倉と原田は思わず飛び退くように後ろに後退する。
「ほほほ…本気で言ってんのか??!」
「い…言わされてるとかじゃなく?!」
「へへ!!そうか!脅されたんだな?!!そうだよな?!」
二月だというのに、原田も永倉も玉の汗をかいている。
「お二人とも酷いじゃないですか!本気で相談しているのに…」
「「本気なのかーーー!!!」」
一斉に頭を抱えてしゃがみこむ二人。そもそも山野が真面目な性格で、上司に向けて軽く冗談を言う人間ではないことはわかっていた。だが、今回ばかりは冗談であって欲しかったと本気で思う永倉と原田。
「だだ…だってよぉ、お前の顔ならもっともっと理想高くていいんじゃねえか?!」
「そうだよ。町歩けばもっといい子いっぱいいるだろ?
なんなら俺が島原でも連れて行ってやるよ?!」
二人は身振り手振り必死で山野を思い留まらせようと説得した。
「いいえ!!島原にも何度か連れて行っていただきましたが、あんな素敵な女性は見たことがありません!」
努力も空しく山野は全くなびかない。
「赤城さんは僕の今までの人生の中で最高の女性ですッ!!」
((うっ……言い切りやがった…))
山野八十八の想い人。
それはあろうことか赤城楓であった。

