「平助、どうかしたんですか?」
「ああ…総司か」
中庭から覗き込むようにして藤堂に声を掛けたのは沖田だった。
「なんだか魂抜けそうですけど大丈夫ですか?」
不思議そうに小首を傾げる沖田。
「いや、実はさ、今土方さんが楓を引っ張って外出てったんだよ。まぁその前に色々あったんだけどさ…」
「土方さんと楓が?」
「そう、妙な話だろ?!」
「妙…でもないんじゃないですか?」
藤堂はくすくすと笑う沖田が理解できなかった。
「何でよ?」
「そうですねぇ…土方さんが丸くなったって事じゃないですか?」
“いや〜よかったよかった”と言いながら沖田は再び来た道を戻っていった。
「…どういうこと??」
土方の行動も沖田の言動も全く意味が解らない藤堂は一人取り残されているようで少し寂しくなった。

