「…幕府の支配力が及ばなくなってきたって事か」
(徳川政権も長くねぇかもしれねーな…)
胡坐をかいて景気の悪そうな顔をする土方。
「でかい声では言えんが、そうかもしれないな…」
「これじゃあ犯人絞り込むこともままならねーよ」
「ああ。だから、今回は犯人を少し泳がせてみるというのはどうだ?」
「泳がせるたぁうまく言ったもんだ。まぁ、認めたくねーが、そうする他あるめぇ」
「監察方は更に忙しくなるな。大丈夫なのか?」
席を立つ土方に近藤は不安そうな顔で訊く。
「ふん!こんくらいでぶっ倒れるようなら端っから入隊許可してねーよ」
自信に満ちた顔で答えた土方に近藤は、大きな口を顔一杯に広げて満足気に笑った。