「あ!楓調度いいところに来ましたね!」
「…ムカつく笑顔やなぁ。なんか用か?」
「ははは!今日は一段と気が立ってるみたいですねぇ?」
笑顔が気に入らないと言われても尚、笑い続ける沖田。
「まあいいや!そんなことより、楓にお客さんですよ」
「…うちに?」
「はい!ちょっとこっちに来てください!!」
そう言って沖田は強引に楓の手を引っ張った。
「またあんたは自分勝手に!何やねん!?」
沖田に連れられ、楓は早足で屯所門を出た。
「?」
「「「!!!」」」
門を出てすぐ右には三人の娘が居た。その一人の眼と楓の茶色い眼が合った。
「さあお絹さん、貴女が助けられたのはこの人ですか?」
「助けた〜??」
全く覚えの無い少女の顔に楓は首をかしげる。
一方のお絹は楓の全身をまじまじと観察し、やがて表情がぱぁっと明るくなった。
「そうです!!!この方です!!」
「本当?!!」
「やったじゃないお絹ちゃん!!」
目の前で興奮気味に自分を見る少女と残りの二人の喜ぶ姿に楓は益々どうしていいかわからない。
楓は沖田の方を見るが、ただニコニコと笑っているだけで手助けをするつもりは全くないようだ。
仕方なく楓は、状況を整理するために少女にここまでの経緯を話してもらうことにした。
「お絹ちゃんだっけ?悪いんやけどうちといつ会ったか教えてくれへん?」
「あ、あの…昨日の朝、変な男の人たちに囲まれていたのを楓様が…」
顔を赤らめ、モジモジと常に体を動かし落ち着かない様子のお絹。どうやら相当緊張しているようだ。
「か…楓様?!!」
「ぷっ!!」
自分の名前に違和感を覚える楓に、沖田は誰にも気づかれないように笑う。
「この子、貴方に惚れちゃったんです!!」
お絹の隣にいた美代が等々痺れを切らし、結論を先に述べた。

