幕末異聞


一緒に巡回していた隊士達と別れ、二人は五条通りの茶屋にいた。


「いやぁ、ほんと偶然ですねぇ!もう一生会えないと思ってました」


二人は長いすに座っているため顔を見るには横を向かなくてはいけない。
沖田は気づかれない程度に女の顔を覗き込む。


昨夜は暗くてよくわからなかったが、肌は雪のように白く、腕なんかはとても刀を振るうようには見えない女性らしい腕だ。全体的に色素が薄いのか、背中まで伸びた髪は昨晩と同じく下ろしたまま日に当たって赤茶色に見える。
目は少し吊り目気味だがくりっとした愛らしい目をしている。口元などはまだ幼さが残っっていて美人というよりはかわいいの部類である。


「何じろじろ見とんねん。しばくぞ」


「はは、すみません。きのうよく顔が見えなかったのでどんな顔してるんだろうと思いまして…」


(まったく、鋭い人だ)

感心しながら運ばれてきた団子を一本手に取る。