――ぷっ……あはははははははははは!!
弾けるような笑い声によって静寂が破られた。
沖田である。
「何がおかしいんじゃ!??」
「あ…貴女、土手で野宿してたんですか?!!」
涙目になりながら笑い続ける。ついにはしゃがみこんでしまう始末。
「そ、そうやけど…そんなん珍しくもなんともな「グギュルルルルル…」
…………。
川の向こう岸まで聞こえるのではないかというほどの盛大な音が辺りに響き渡った。
音の根源は沖田に怒鳴る女の腹の虫だった。
「ぷっ……立ち話も何ですし、茶屋にでも入りましょうか!」
「え…遠慮するッ!!アンタなんかと茶なんか飲めるか!」
女は腹を押さえながら必死で反論する。
「なんだ、せっかくお団子でもご馳走して差し上げようかと思ったんですが…そんな風に言われちゃしょうがないですねぇ。一人で行きますか」
「お…おいっ!そういう話なら…付き合ってやってもええで?」
(きのうから何も食ってないんや!この機会逃したら確実に飢え死にする!!)
女は内心本気で焦っていた。
それを知ってか知らずか沖田はニコニコ笑いながら、
「じゃあ、行きましょうか」
と言って賑う町の大通りに向けて歩き出した。

