今、楓の隣には藤堂がぴったりくっついて座っていて、肩には藤堂の頭が乗っている。
おまけに腕はがっちり組まれた状態。傍から見ればまるで恋人同士に見える。
「おい!平す「お〜?何だぁ?楓と平助ってそういう関係だったの?!!」
酒を飲んでいるため、普段より数倍声がでかくなっている永倉がヘラヘラと笑いながら楓のいる所を指差している。
永倉の言葉に騒いでいた隊士の何人かが楓と藤堂に注目する。すると、目を半分閉じかけていた藤堂が突然ガバッと楓の肩から頭を持ち上げ、鼻の穴を馬のように広げた。
「そうなんだよ八っつぁん!!!俺たち実は…」
藤堂が何かを言いかけた時、目の前をハラハラと黒くて細い何かが束になって落ちていくのが見えた。
永倉はその光景を見て一気に酔いがさめ、赤かった顔がみるみる白くなっていく。
「なに?皆なんでそんな驚いてんの?!」
藤堂はまだ自分がどんな状況に置かれているのかまったく理解していないようだ。
「人が黙って我慢してれば調子のりやがって…」
そんな中、男に負けないくらい低い声で話す楓の声が聞こえてきた。