「山南さーん!!」
沖田は笑顔で山南に向けて大きく手を振ってみた。
しかし、山南は何の反応も示さない。
(どうしちゃったんだろう?)
どうやら山南はこっちは向いているが、沖田たちの事には気がついていない様子だった。
そんな山南の様子が気にかかった沖田は、子どもたちと遊ぶのを一旦中断し、山南の元へ走った。
――ジャッジャッ…
沖田がかなり近くまで行くと、山南はようやく砂利を踏む足音に気がついた。
「ああ!!総司か。すまん、気づかなかったよ」
「ふふ、どうしたんですか?そんな難しい顔しちゃって!」
“変な山南さん!”と言ってケラケラと無邪気に笑う沖田に釣られて山南も困ったように笑った。
「総司……少し、話しをしないかい?」
「ええ!喜んで」
二人は場所を林の中から壬生寺本堂入り口の石段に移すことにした。
目の前の石畳では子どもたちがはないちもんめの続きをしている。
子どもの楽しそうな声を聞きながら山南が隣に腰をかけている沖田を見た。