「…一体何をしでかそうと言うのかね?」
(これならまだ長州の残党のほうがマシだったな…)
新見の額には冷や汗が吹き出ている。
山南が一歩前に出て新見の目を真っ直ぐ見据えたまま落ち着いた声で話し始めた。
「今朝、両局長公認の『局中法度』というものが施行されることになりました。内容は、
一、士道ニ背キ間敷事
一、局ヲ脱スルヲ不許
一、勝手ニ金策致不可
一、勝手ニ訴訟取扱不可
一、私ノ闘争ヲ不許 」
「これを破ったやつは、切腹だ」
「せ………切腹…??!」
混乱している新見をよそに更に山南が続ける。
「新見さん、あなたは今日まで不特定多数の人に暴力行為をしていますね?
それに、花街に通うため、隊費と偽り問屋や民間人から金を強請り取りましたね」
「な……何を根拠に…そそ…そんなことを…ッ!」
「あんたが副長をやってる新撰組の優秀な監察方の情報だよ。
なんなら、今ここで全部読み上げてやってもいいんだぜ?」
襖に寄りかかりながら土方は懐から今までの新見の悪行を書き記した半紙を出し、新見の前でヒラヒラと揺らして見せた。
「な……なな…」