「間違いねぇ。新見だ」
「うむ。ここからどうするんだね?土方君」
隣の部屋からは甲高い女の笑い声と男にしては高めの特徴ある声が聞こえてくる。
山南と土方はこの夜、祇園の料亭『山緒』の一室にいた。
「新見の隣の部屋で島田君が張っている。いいころになったらこの部屋に来るだろう」
「そうか…女性はどうするんだね?まさか斬り捨てるなんて事はしないだろう?」
今日一日新見をつけていた監察方・島田の情報によると、新見は贔屓にしている遊女を部屋に連れ込んだようだ。
「さあ。時と場合によるな。女が騒ぐようなら止むをえんだろう」
「そんなッ!!彼女は無関係なんだぞ?!
何の罪もない人を殺すなど私にはできない!」
「あんたに出来なくても俺なら出来る」
「…っ!君は……」