「はっはっは!!君たちらしいな!」


近藤は大きな口を開けて笑った。

まったくだと思い、土方は微笑したがまたすぐに顔を引き締め、何かを決断したように眼を瞑り、深く息を吐く。


原田と沖田はそんな土方の只ならぬ雰囲気を感じ取り、崩し気味だった姿勢を正した。

近藤と山南に至っては、土方から発せられる言葉を静かに待つ。



数秒の沈黙。


呼吸の音も聞こえない部屋の中、土方は静かに眼を開いた。



「明日、芹沢一派の粛清に入る」



その言葉に一同は驚きも戸惑いもしなかった。

いつかは来るであろうこの日を各々覚悟していたのだろう。

そして、近藤が補足のために口を開いた。

「これは決して内部抗争ではないことを解ってほしい。
芹沢一派は明日付けで施行される局中法度を破ったことにより粛清を行うのだ。
そして、芹沢鴨については、松平様直々に始末しろとの命を受けた。
これは立派な任務だ。心して取り掛かってほしい」

近藤は威厳のある低い声で四人を見回しながら言った。

「そういうことだ。粛清はこの五人で行う。
何か異論があるやつはいるか?」

「ありませ〜ん!」

場違いに明るい声で沖田が代表して承知の意を伝える。

「よし。では、早速本題に入る。
島田君の調べによると、明日・九月十三日 八時に新見錦が祇園の山緒亭で食事をするようだ。
新見はそこで切腹させる」

「この件は、同じ副長である私と土方君が引き受けよう」

土方の言葉に継いで発言したのは山南。

いつもは温和な彼も、この時ばかりは緊張を隠しきれないでいた。

そんなことはお構いなしに土方はその先の説明を始める。