―泉の呪い―

 アレキサンドラは熱心にこくこく頷いていたが、サフィールは目を伏せた。


「では、あなたは剣を守っていた訳ではなく、呪いの力を他へ及ばせないために見張っていた、とおっしゃるのですね」


 白蛇はうなだれ、
「半分は当たっているが、半分は違っている」
 と、答えた。

 あたりは風が枝を揺らす音だけだ。


「私とて王をお守りしたいのだ。が、私は剣に触れることのかなわぬ身。剣のささった泉のほとりから外へは出られなくなってしまった。故に洞穴から目だけで見ていた」


「剣? これが、この紫の刀身が呪いであるというのか」


「そう……その呪いの剣を抜き去ることができるのは乙女だけ。そして、それ以外、剣に封印されたものも解放されることはない」