勿忘草


「…ですが総護様、心音様は「わかってる。」



空木の言葉を俺が遮った。


彼は悲しげに目を伏せる。



「…キッチンと冷蔵庫の中の物、お借りしてもよろしいでしょうか?」


「あぁ。でも冷蔵庫には何も入ってないぜ」


俺がそう告げると、空木は冷蔵庫の中身を確認する。


「卵とお米があれば十分です」


そういって何かを作り始めた。





俺はシオンのいる寝室へ向かった。



静かに扉を開くと、
先程とは違い、穏やかに寝息をたてているシオンがベットで眠っていた。


ベットの端にゆっくりと腰掛け、彼女の様子を見る。


熱も下がったようだし、

顔色もだいぶ良くなったみたいだ。


『わっ…私達…ずっと一緒にいれたらいいね…?』



シオンの言葉を思い出す。




それは心音の言葉。




俺達の約束。





《私達、ずっと一緒にいれたらいいね!》


《当たり前だろ。なぁ秋夜》



《ふっ。そうだな》



《じゃあ約束!》


あの場所で当たり前のようにそう約束した。



あの時の言葉。



そうだと信じて疑わなかったあの頃。




俺達は幸せだった。





忘れられない思い出。



守られる事の無い約束。