俺の裾を強く掴む、彼女の手をそっと離し、俺も車に乗った。
「総護様…。これは一体…」
空木は心底困惑したように、運転しながら俺に尋ねる。
「悪いが、俺にもよくわからねぇんだよ」
俺も頭を押さえて深くため息を吐く。
俺は知ってる限りの彼女の事と、いままでの経緯(いきさつ)を彼に話し、
家に着くと彼女を部屋のベットまで運んだ。
「彼女が気を失ったのは、恐らく記憶の混乱と長い緊張状態などによる精神的なものと思われます。」
ソファーに座る俺の前で、空木は続ける。
「それ故に顔面蒼白、息切れ、頭痛に微熱などの症状を引き起こしたのでしょう。彼女のような記憶障害の方には珍しくないことです。」
そう言ってふわりと少し表情を緩める。
「そうか…」
俺は顔をしかめた。
「記憶障害ですか…。私の専門外なので信頼できる脳神経医を呼びましょう」
「頼むよ」
「…それにしても、あの姿。本当に心音様の様ですね」
俺は無言で目を伏せる。
空木は俺が幼い頃から仕えていている為、心音の事も昔から知っていた。
確か料理の話で花を咲かせていたのを覚えてる。
