勿忘草




カランッ


スプーンをグラスに置き、シオンは満足げにふうと息を一つ吐いた。


その姿を頬杖をつきながら確認し、尋ねる。


「うまかったか?」


そう聞けば答えは当然


「凄く美味しかった!」

笑顔でそう答えるシオンに笑みが零れる。


「そっか。…じゃあ行くか」


そう言って立ち上がり会計を済ます。




夜の道を2人で歩く。



彼女はその道中なにか言いたそうに何度も俺の顔を見たが、結局話し出すことはなかったし、
俺もその内容を聞こうとは思わなかった。



お互い結局何も話さないまま、足を止めた。



「?」


いきなり俺が止まり、不思議に思ったのか彼女は俺の顔を見る。



「着いたぜ」


その俺の言葉に驚き、彼女は俺の視線の先を見る。



「警察が助けてくれるから。この中の人に全部話せ」


そう、ここは交番。



「…総護君は?」


彼女は不安げに俺を見上げる。




「俺は…此処までだ」


そう言って力無く笑い、彼女の頭をぽんと優しく撫でる。