街の明かり。
様々な色の光が美しく輝く。
雲の流れによってさきほどまで隠れていた満月が顔を出した。
月明かりに照らされているせいか、青白く見える肌。
よく見ようと手を月にかざして見たとき、
ふと思った。
『…私…だれ…だっけ?』
少し視線を地面に落とすと、さらりと長い髪が体を滑る。
この辺りは電灯がなく、ある光といえば頼りなく輝く小さな星たちと、
淡い光を放つ満月だけ。
満月でよかった。
でないともっと暗かっただろう。
それに今の状況ももっと把握出来なかった。
見覚えのない場所
見覚えのない服
聞き覚えのない声
そして何も覚えていない私。
