出された水を飲みながらちらりと彼女を見る。
姿も声も心音で…
心音と一緒にいるみたいで少し嬉しくなる。
でも彼女は死んだんだ。
名前が同じなのもきっと偶然。
何も聞いていないがもしかしたら、心音の親戚か何かかも知れない。
「なぁ、あんた名字はわかんないのか?」
彼女にそうたずねると、何か考え事をしていたのか、びくりと体が動いた。
「名字…」
彼女はしばらく考え込み、ふぅと息を吐いた。
「駄目です…分かりません」
そういいながらしゅんとする。
「そっか…」
「すみません…」
残念そうな顔をする俺を見て、申し訳なく思ったのか謝ってきた。
そんな彼女に俺は思っていた事を言った。
「てかさ…その敬語じゃなくていいから。てかむしろ止めてくれ」
さっきからずっと気になっていた。
見るからにして同じぐらいの年頃の奴に敬語を使われると調子が狂う。
「…わかり…っ…わかった。ありがとう榊君」
「それから俺の事は総護でいいから」
そう言うと彼女は戸惑ったように俺の名前を呼ぶ。
「そっ…総護…くん」
