勿忘草




「あんたの名前?」


彼女はシャツを掴む手に込めていた力を、更に強め言った。

「そう、私の名前はシオン」





再びドクンと心臓が激しく揺れた。



同じ名前?





こんな事ってあるのか?




俺は激しく動揺していた。





シオンと名乗る彼女の姿は、
俺の知っている心音そのものだったから。


髪も

目も

鼻も

口も

声も全部。





言うならば2年前より髪も長いし大人びているが…


それがまた心音が生きてたらこうなっただろうと思わせられる。


再び心音に会っているような…
そんな錯覚に陥ってしまう。




もし仮に…全くあり得ないが、彼女が心音だとしても…


俺への態度がおかしい。



俺が現れて怯えたり、驚いたり…

俺に向けられている彼女の視線だってそう。




まるで初対面だ。






俺が黙想している中、彼女は俺の返事を待てなくなったのか、

それとも俺にそんな余裕がないと知ったからか俺に問いかけた。




「あなた誰?私あなたの知り合いですか?」