勿忘草






これ以上ないくらい目を見開いた。





舞い散る白い花びらの中、
風に揺れる深い紫紺(しこん)色の長い髪が良く映えた。


白い肌は透き通り、涙に濡れたの暗い菖蒲(あやめ)色の瞳は酷く驚き、怯えているようだった。







白いワンピースをきて、月明かりに照らされた彼女の姿はなんだか神秘的で…



驚きながらも魅入ってしまった。









確かにあの日…





彼女は死んだ筈なのに。





夢かと思った。


夢でもいいと思えた。


そんな疑問よりももう一度会えた喜びの方が大きかったからだ。





「…心音(シオン)…」


思わず声が漏れた。



それを聞いた彼女は更に驚いた顔をした。


そして自分の呼んだ名で我に返る。





《あの子は死んだのよ》





《彼女は既に…亡くなられました。》





《現実をみろよ!!!》




頭の中で何かが弾けた。





それは周りに言われた言葉。





あの頃も今のように、彼女の名前を呼んでた。




恋しくて





恋しくて。






もう一度逢いたくて。