「誰か…いるのか?」
その声に驚き、勢いよく振り返る。
1人だと思っていたのに。
-ドクン…
胸の奥で心臓が激しく脈を打つ。
ごくりと思わず喉を鳴らした。
微かに震える手足に緊張が走る。
1人じゃないと安心したのもつかの間、
不安が押し寄せてきた。
何の記憶もない
この場所も、
親の顔も、
どこに住んでいるのかも、
自分のことさえ、覚えていない。
ここはどこなのか?
知るチャンス。
でも…
こんな人気の居ないところに…
こんな夜中に一体何をしにきたのだろうか?
というより…もしかしたら人じゃないかも知れない。
幽霊かも…
そんな事をぐるぐる考えている内にもどんどん足音が近付いてくる。
瞬間、怖いと思った。
逃げだしてしまおうと思った。
でも…
体が竦んで動かない。
