勿忘草







ぐぅ~



穏やか空気が流れる車内に、
いきなり気の抜けた音が響く。




聞き覚えのある音。



瞬間、思わずお腹を押さえる。




2つの視線を感じ、思わず俯く。


顔がどんどん熱くなって、
赤くなってゆくのがわかった。





「…ぶっ!ククク。シオンの腹はホント素直だな」


総護君が可笑しそうに笑う。


「…っ…」

恥ずかしくて顔をあげられず、言い訳しようにも思い付かない。





「そろそろ夕食の時間ですからね、無理もないでしょう。」


空木さんは優しい声でそう言ってくれた。


「そうだな、俺も腹減ったし」



信号で車が止まる。

空木さんがミラー越しの総護君に尋ねた。



「本日は何がよろしいですか?」



「お前に任せる。…でももうアレは入れるなよ?」




アレ?


熱い顔を冷ましながら、気になって私は二人に聞いてみる。


「…アレって何?」


すると彼は何故か、ばつが悪そうな顔をして顔をそらすと、
少し怒ったようになんでもねぇ、と一言。


ミラー越しの空木さんは笑っていた。




「では買い出しをしてから行きましょう」




車はぐるりと方向転換した。