「悪かったって。それよりお前、何もされなかったか?」
総護君が眉を寄せて、何故か心配そうに聞いてくる。
私は何故そんな事を聞いてくるのか、
よく分からずに首を傾げた。
「…?誰に?」
「あの男に」
あの男?
さっきの男性のことだろうか?
「…何を?」
考えてみても彼の質問の意図が分からず、再び尋ねる。
「何ってそりゃ……」
彼は何かを言おうとした。
けれど何故か顔を苛立だしげにしかめると
「あぁ"ーなんでもねぇよ!!」
そう言ってそっぽを向くと先程私が座っていた、木の側に腰かけた。
ますます分からない。
なんだかさっきからわからないことだらけだ。
そんな事を考えつつも、私は彼に続いてとなりに座る。
辺りは未だ、オレンジ色に染まっていた。
なかなか沈まない太陽を二人で眺める。
近くで遊んでいた子供達も、
水族館に来ていたお客さん達もその夕日に染まる帰り道を進んでいく。
ちらりと隣に座る彼の横顔を覗く。
整った横顔。
キャラメル色の髪が、夕日に良く映えた。
そんな彼の姿を見て、私はあることを思い、微笑んだ。
「…総護君。」
私がそっと、彼に声を掛ける。
「…なんだ?」
すると彼はゆっくりと顔をこちらに向ける。
