勿忘草



もしかしたら錯覚してしまうからかも知れない。



シオンといるとあいつが戻ってきたみたいな…






そんな錯覚に。







ヴー‥ヴー‥


突然、ポケットに携帯のバイブが響いた。



それにシオンも気付き、俺に目をやる。



「ちっ、誰だよ…陽介か?」



いや…今日はテストがあったから秋夜かもしれない。



そんな事を考えながら、携帯を開く。




着信?


画面には見覚えの無い番号。




秋夜でも、陽介でもない。



誰だ?


不審に思いながらも通話ボタンを押し、耳に当てる。




「…榊君?」



女の声。



「…誰だ?」



訝しげに思いながら、聞いてみる。




どこのどいつだよ?


頭の中でぼやく。



昔クラスのヤツらに番号を教えたら、女からあり得ない程、連絡が来た事があった。


それはクラスの女子から、見知らぬ女まで。



きっと教えてと言われ、教えてしまったんだろう。


それは驚くべき速さで広がった。



それ以来、携帯を変えた俺の番号は学校では秋夜と陽介しか知らない。