勿忘草




「う…わぁ…」






通路を抜ければ、そこには大きな空間。




そして広い空間には、それは大きな水槽があった。



ライトアップされた水槽によって、薄暗い室内は神秘的に照らされる。


その大きな水槽を悠々と泳ぐエイやサメ達に来ていたお客全員が目を奪われた。


感動に漏らした小さな声があちこちから聞こえる。



シオンはゆっくりとその水槽に歩み寄る。



そして近くに行くと、ぼうっと水槽を見上げた。


そんなシオンに声を掛ける。


「キレイだろ?ここの目玉なんだ」



「…うん。凄く綺麗」


シオンは大きな水槽に見入っていた。



水槽の水が光に反射して、ゆらゆらと揺れる。



それがシオンを柔く照らし、そね姿に俺は魅入った。


白い肌と白いワンピースがこの空間によく合っていた。





…昔3人で、ここに遊びに来た事があったっけ。



俺と秋夜と心音。



小学生の頃、3人でこの水槽を今みたいに見入っていた。




あの時の心音も、俺達の視線に気付かずにこうやって水槽を見上げてた。




何故だろう。




辛い気持ちになるから、前はこうして心音の事を思い出すのを避けていたのに…



何故かシオンといると、あいつの事を穏やかな気持ちで思い出せる。