遠くから蝉の鳴き声が聞こえる。
その声が更に暑さを増させた。
「こらこらお姉さんを困らせるんじゃない。そろそろ病室に戻ろう。今日は天気が良すぎるからな」
葛城先生はそう言って少女達を室内へ促す。
「えぇ~」
「もっと遊びたい~」
ぷっくりと頬を膨らませてそれぞれにわがままを言う少女達に、先生は笑いながらダメと一言。
「ぶぅ~お姉さんまたねー」
「ばいば~い!!」
子供達は渋々といった様子で、看護師に連れて行かれながらもシオンに元気良く手をふった。
「ばいばい」
シオンも笑顔で手を振る。
けれどそんな中動こうとしない少女が1人。
「ほら花奈(ハナ)ちゃん、お薬の時間よ」
もう1人の看護婦さんがその少女を促す。
どうやら女の子の名前は花奈というらしい。
シオンに花の冠を貰った子だ。
「ほら、もうすぐ薬の時間だ」
「えーやだぁ」
薬を飲みたくないのだろう。
先生にしがみついて離れようとしない少女。
困ったように笑って葛城先生と俺は顔を見合わせた。
「総護様、シオン様、車の用意が出来ました。」
するといつの間に空木が俺の横にいた。
