力無くその声に返事をする。


どうやら視界で忙しなく動いていたのはコイツの手。

「ったくまたぼ~っとして…赤点とっちまっても知らねぇからな!」

悪戯に笑いながらそう話す顔は例えるなら小学生(ガキ)。


「…うるせーよ。てか赤点心配するのは俺じゃなくて、お前だろ?陽介」


俺の前の席のコイツは橘 陽介(タチバナ ヨウスケ)

少し長めのオレンジ色に近い茶髪は、真ん中から両サイドに流れるようにセットされている。

くっきり二重に少し大きめの焦げ茶の瞳。

口を開けば八重歯が2つ。

見た目は…犬。




中身は…




「なに言ってんだよ!!俺今回は自信あんだからな!ぜってぇまっ…」


その時、

バコンっ!!

教室中に乾いた音が響いた。

「っ~痛ってぇ~」


その直後陽介の悲痛の声が教室に響いた。






バカ。