「和奏ちゃん」




 帰り際、あたしは真子さんに呼ばれた。




「はい」



「今日は、きてくれてありがとう。

 …これ、叶が目を閉じる前に私に渡してきたのよ。



 『これ、和奏に渡して』



 って」





 真子さんの手には、手紙があった。





「あ、りがとうございます」




 あたしはそれを受け取った。





「お母さん、あたし、ちょっと寄り道」



「分かったわ、気をつけて帰って来るのよ」



「うん」






 あたしは走りだした。



 行く先。




 それは、貴方とであった場所。