「叶…??
 ねぇ、叶っ!!」



 叶は目を覚まさない。


「さっきと一緒じゃない!!
 また、目を覚まして…!!」




 どんなに言っても、また叶が笑みを作ることはない。



「…うぅッ…
 かな、う…」




 涙。



「…泣いちゃ…駄目…」




 叶の言葉を思い出し、
 あたしは涙を拭う。




「…もぅ一度、和奏って言って…」




 そんな願いはかなわない。




「叶…」




 あたしはひたすら叶の名前を呼んだ。



「叶…」