~天に背いて~<~天に送る風~第二部>



 青ざめた王子はそのまま動かない。動けないのだ!

 腹を、爪にかけられて。

 血も出ていない。

 吸引されてるかのようだ。

 いや、実際、吸われている。

 化け物の爪から伸びた、びくびくとはねる血管がそれを示している。


「リック、いや、リッキー? アレキサンドラ? こんな時になんなんだが、できればよく聞いて欲しい。私と死んでくれ」


『遺言だな』


「リリアン、冗談でもそのようなことは!」


「冗談ではない。冗談ではないのだよ、リッキー、いや、アレキサンドラ? もう、目……が」