王子が天を見上げていると、リッキーが首を突っ込む。 『何をなさっておられるので?』 『暈が二重にかかっている』 『月の周囲に見えるあれは虹の仲間ですか』 『さあ、なんなのだろう。これからどんなことが起こるのだろう』 『あれは幻月。虹じゃない。宙に氷のつぶてが舞うので、月光が反射してるだけ。いつか俺も』 クリスチーネは苦しい息の下でそういった。 『いつか俺も地獄を出て、本物の虹が見てみたい。へへっ、そんなこと言ったら、俺、悪魔に目ェつけられちまうかな』