「でも…」



俺はポケットからアメを取り出すと、ビリビリとビニールを剥がし、それを口に含んだ。



瞬間、口内に広がるありえねぇほど甘ったるい、俺とアイツの初めてのキスの味。



本物の果実のソレとは程遠い、人工的な作られたストロベリー味は、間接的にしか出来ない今の俺らにはピッタリ。



本物を知るにはまだ早い、俺ららしい丁度いい距離の味。



「それも悪くねぇ…かな?」



遅れてやってきたクラスメイトのヤローの頭にお仕置きとばかりに集めた落ち葉をかけながら悪戯な笑みを浮かべる坂下を見つめながら、俺はフッと小さく笑みを零した。





end..